- 研究開発
- 2020.11.11
環境配慮型次世代化成処理剤
有害物質や産業廃棄物の削減、水使用量の大幅削減を同時に実現する、環境配慮型自動車ボディーの塗装前処理剤です。


環境配慮型次世代化成処理剤とは
自動車ボディーには、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板のほかアルミニウム鋼板が使用されています。電着塗装工程の前に、付着した油分や金属粉を除去する洗浄工程と、塗膜密着性と耐食性を付与する化成処理が行われます。
環境配慮型化成処理とは、一般的に採用されているリン酸亜鉛と同等の性能を持ちながら、環境に悪影響を与えるニッケル、マンガンなどの重金属やリン化合物を含まない、地球環境に優しい化成処理剤です。また、リン酸亜鉛と比較して、表面調整工程が不要、化成反応時の副生成物(スラッジ)発生が非常に少ない、処理時の水使用量が大幅に削減される、といった特徴があります。工程短縮、節水、産業廃棄物低減に貢献します。

どのような技術か?
リン酸亜鉛皮膜は、多くの結晶が集合した結晶性の皮膜です。皮膜モデル図のように、結晶による凹凸が存在し、アンカー効果により塗膜密着性を発現します。一方、次世代化成処理剤は、遮断性の高い緻密なアモルファス性の無機・有機ハイブリッド膜を形成します。有機成分により密着性官能基を皮膜中に配置し、塗膜や基材と化学結合により強固に密着しています。この優れた遮断性と密着力により、リン酸亜鉛よりも少ない皮膜重量のナノスケールの膜厚0.05~0.1μmで優れた防錆性能を発揮します。

社会課題解決への貢献
地球環境保全の観点から、自動車表面処理工程の環境負荷を低減する技術へのニーズが⾼まっています。本技術は、産業廃棄物の⼤幅な低減と⽔使⽤量削減に貢献します。さらに、ゼロエミッションの実現に向けて、新たな自動車ボディー表面処理剤の開発に取り組んでいます。