リスク評価
取引先のリスク評価とエンゲージメント
各パートナー会社は、「サプライヤー行動規範」に基づいて作成されたアンケート調査を利用し、取引先のリスク評価を実施しています。基準を満たしていないと判断された取引先に対しては、エンゲージメント活動を実施し、リスク低減を図っています。
NIPSEAグループと日本グループ
NIPSEAグループと日本グループは、グローバルで調査方法を標準化するために、新たに開発した「サプライヤー・サステナビリティ・アンケート」を2022年から採用しています。現場で不適合が発覚した場合、取引先と是正措置について協議し、一定期間内の実施を依頼しています。
DuluxGroup
DuluxGroupは、「持続可能な調達プログラム」を通じて、サプライチェーン全体で現代奴隷制のリスクを管理しています。このプログラムは、国際労働機関(ILO)の条約、倫理的貿易イニシアチブ(ETI)の基本労働規範、ISO14001、SEDEXの行動規範をはじめとするグローバル・サプライチェーンの規範や指針に準拠する内容となっており、現代奴隷制のリスクを特定・対処し、責任ある透明性の高いサプライチェーンを維持することが目的です。取引先やその施設で実施する現地調査を通じて、取引先が「持続可能な調達基準」を満たしているかどうかを確認し、改善措置が必要かどうかを判断します。
Dunn-Edwards
Dunn-Edwardsは取引先が供給する製品について、強制労働や児童労働、人身売買、奴隷労働との関連を調査・評価しています。事前に定めた基準を満たしていない取引先に対しては、説明責任を果たし、所定の手続きに従うよう求めます。直接取引のある取引先が非人道的な労働に関わっているという信頼性の高い情報を得た場合は、可能な範囲で第三者による非通知監査を実施します。
サプライヤー監査 実施結果:日本グループ
日本グループでは、重要原材料購入先や、品質トラブルの発生したメーカーさま・生産委託先さまの製造工場に当社の設計・品質管理・調達部門をメンバーとしたチームによる監査を継続的に実施しています。サプライヤーの現地監査では、品質や事業継続の視点に加えて環境・安全などの項目も加えて監査を行い、原材料の製造現場との直接対話を通じてリスク低減を推進しています。2023年に引き続き、2024年においても現地監査を実施しました。不適合が発見された場合は、期限を定めて、是正措置を求め、改善をお願いしています。
サプライヤーさま | 結果 | |||
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監査実施状況 | 実施 | 適合 | 条件付き適合 | 不適合 |
2024年 | 10 | 9 | 1 | 0 |
2023年 | 24 | 24 | 0 | 0 |
2022年 | 6 | 6 | 0 | 0 |
サプライヤー・サステナビリティ・アンケート
当社グループは、取引先のEGSへの取り組みを調査するため、「サプライヤー行動規範2022」と併せて「サプライヤー・サステナビリティ・アンケート」を作成しました。2022年10月にグループ全体で共通の調査を開始し、これまでに166社を超える企業が「サプライヤー行動規範」の順守に同意しています。これらの取引先からの調達額は、当社グループの総調達額の約22%に相当します。また、こうしたグループ共通の調査に先立って、各国・地域が同様の調査を実施しており、全ての調査で得られた回答を合計すると、計481社が行動規範の順守に合意しています。481社からの調達額は、当社グループの総調達額の約54%に相当し、2023年の目標として定めた40%を達成しました。
当社グループは、総調達額に対する割合を2025年までに90%へ引き上げることを目指しています。
「サプライヤー・サステナビリティ・アンケート」の結果※1
NIPSEAグループ | DuluxGroup | 日本グループ | Dunn-Edwards | 合計※2 | |
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行動規範の順守に合意した取引先数 |
812 | 273 | 272 | 106 | 1,181 |
総調達額に対する割合 |
82% | 89% | 88% | 74% | 84% |
※1 Cromology、JUB、NPAE、Allinaは除く
※2 各パートナー会社の合計数値は、ダブルカウントのない一意の値
サプライヤー研修
日本グループでは、サプライヤーとの情報共有や当社の取り組み方針の浸透を目的に2020年より研修会を実施しています。2020年には日本グループのESG経営の紹介、原材料仕様書の作成方法のチェックポイントについて解説しました。 ESG経営の紹介では、サプライチェーン全体でESG課題に取り組むために、日本グループの環境、社会、ガバナンスの各課題や方針を共有し、信頼関係の構築に努めました。環境では、例えばサプライチェーン全体での環境負荷軽減、社会では、さまざまなステークホルダーからの要請などについて触れました。サプライヤーとの連携強化を目的にRMS(原材料情報システム)を2021年に開発し、主要サプライヤーに対して導入説明会を開催しました。RMSの利用説明会は2022年以降も順次開催しています。また、2024年においては、全サプライヤーの内の90%を超える回答を入手しており、サプライヤー行動規範を周知するとともに、環境負荷軽減にかかわる温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けて、原材料のGHG排出量を開示いただくなど、積極的に働きかけています。原材料の安定供給のため、災害発生時や化学物質法規制が改定された際には、影響調査を速やかに実施し、サプライヤー各社との連携に努めています。