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2025.02.21

USE2023において超音波シンポジウム論文賞を受賞 - 基板上の液滴の測定に関する新理論を発表 -

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2025年2月21日
会社名 日本ペイントホールディングス株式会社 代表者名 取締役 代表執行役共同社長 
若月 雄一郎
取締役 代表執行役共同社長 
ウィー・シューキム
問合せ先            理事
インベスターリレーション部長
    サステナビリティ部長
          広報部長 
田中 良輔
(TEL 050-3131-7416)

USE2023において超音波シンポジウム論文賞を受賞
― 基板上の液滴の測定に関する新理論を発表 ―

日本ペイントホールディングス株式会社は、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科の酒井啓司教授を中心とした研究グループとの共同研究において、基板上の液滴の物性測定に関する新理論を確立し、USE2023(The 44th Symposium on Ultra Sonic Electronics)※1において論文賞を受賞しましたのでお知らせいたします。 本研究は、2020年5月18日に締結しました産学協創協定に基づく共同研究の一環によるものです。

受賞概要

受賞名 USE2023論文賞
論文テーマ名 Experimental and theoretical research on oscillation behavior of droplets on horizontally oscillating substrates
著者 石田 聡(日本ペイントコーポレートソリューションズ)、美谷 周二朗(東京大学)、酒井 啓司(東京大学)
ポイント 基材に液滴が塗布されたあとの物性を測定する新理論を確立。これにより、今まで測定できなかった液滴の物性の時間変化の正確な測定を可能にした。

※1 USE2023 論文賞:超音波に関する科学と技術の発展に顕著な貢献が期待される研究成果をシンポジウム(The 44th Symposium on Ultra Sonic Electronics)において、論文を公表した研究者個人または研究グループを対象に、運営委員が規定に基づき、厳正な審査を経て選考される賞。

論文のポイント

研究の背景

塗料の主な塗装方法の一つであるスプレー塗装は、数十μm程度の液滴を基材に吹き付け、乾燥させることで塗膜を形成する方法です。この際、塗料の粘度や表面張力をコントロールすることで、塗装作業性や塗膜の外観を向上させることが可能です。しかし、これまでは塗着後の液滴の物性を測定する手段がなく、塗膜品質に重要なこれらの変化は把握できないまま、塗料開発を行ってきました。本研究では、基板上の液滴の物性を測定する理論の構築と、専用測定機器の開発に取り組むことで、革新的な塗料開発への第一歩に繋がると考えました。

研究の内容

本研究の成果は、基板上の液滴の物性測定の新理論の確立及び計測装置を開発したことです。 我々は基板上の液滴を水平方向に振動させることで液滴をずり変形させ、液滴の表面ベクトルを極座標系で表し、ずり変形した液滴の表面積を微分幾何学を用いて計算し、さらに流動の運動エネルギーを用いて、ラグランジュ方程式を解くことにより液滴の振動数と表面張力の関係を導き出しました。さらに、振動数が減衰定数より十分に大きいと、液滴のエネルギーが振幅の2乗に比例すること、単位時間当たりのエネルギー散逸量が粘度に比例し、ずり速度の2乗に比例することなどを活用して減衰定数と粘度の関係を導出しました。

また、本研究で導出した液滴の水平方向の振動挙動を計測する機器は世の中に存在しなかったため、装置の開発もおこないました。液滴振動の変位検出としてナイフエッジ法を用いることにより高い時間分解能を実現し、本研究では、1秒間に10000回程度の液滴の変位計測をして、数100Hzの振動挙動をリアルタイムで計測しました。さらに高い振動周波数にも対応可能にしました。この開発した検出装置を用いて、構築した理論が様々な物性を有する液体に対する測定値と一致することを確認し、理論が正しいことを示し、さらには溶媒の揮発に伴う表面張力の時間変化の計測など実験からのアプローチも十分に行いました。このように、本研究は、基板上の液滴の物性測定方法の理論構築、測定装置の開発、測定による検証と多面的な研究成果を出すことができました。

実験装置や検証データ画像

今後の展望

液滴を射出して塗布する産業用途は塗料だけではなく、身近な例だとインクジェットプリンタなどのほか、薬物を微小液滴として射出し細胞に届けるなど医学の分野でも活用されています。本研究で開発した基板上液滴水平振動法の開発は塗料分野だけでなく、多くの業界にも有用な成果であることから、さまざまな液滴の物性測定を可能にするべく、装置のさらなる改良を続けてまいります。

 


ご参考

社会連携講座について
本研究は、東京大学と日本ペイントホールディングス株式会社との産学協創協定における具体的活動として設置された社会連携講座「革新的コーティング技術の創生」の共同研究テーマの一つとして推進されました。この社会連携講座は、2020年10月1日~2025年9月30日までの5年間、設置しています。

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  • 問合せ先
  • 日本ペイントホールディングス株式会社 広報部
  • E-mail: nphd-kouho@nipponpaint.jp
  • TEL: 050-3131-7416

以上

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