1. Introduction

皆様、こんにちは。本日、皆様とご一緒できることを大変嬉しく思います。
私はDuluxGroupが英国のICIの傘下にあった当時に研究開発チームの化学者として入社し、現在まで36年間勤務しています。最初の9年間は研究開発チームを率いて、次の9年間はDuluxブランドの営業チームに所属しました。Duluxブランドのマーケティング・ディレクターを務めたほか、SelleysブランドのSAF(密封剤・接着剤・充填剤)やYatesブランドのガーデン事業でゼネラル・マネージャーを務めました。CEOには18年前に就任し、オーストラリア証券取引所(ASX)の上場企業であった当社を9年間にわたって率い、現在は日本ペイントグループの傘下企業として5年余りが経ちました。
本日のプレゼンテーションのタイトルは、「収益成長に向けたブランド戦略(Brand strategy for profitable growth)」としました。その理由は、当社で勤務してきた36年間で、多くの事業が収益性の高いマーケットリーダーへ変貌を遂げてきたことを現に目の当たりにしてきたからです。実際、当社に入社した1989年当時を思い起こすと、最大の事業であるDulux建築用事業は全く利益を上げていませんでした。しかし、現在では、数量ベースで市場シェアが50%に達していることに加え、非常に高い営業利益率を達成しています。これは40年近くにわたる戦略の強みの賜物です。
本日は、こうした内容について具体的にご説明するとともに、多くの事業でブランド戦略を一貫して実行し、現在では2桁の営業利益率とNo.1の市場シェア獲得につなげていることについてもご説明いたします。
説明資料の内容に入る前に、表紙についてお話しいたします。この表紙は、DuluxGroupが第一にマーケティングブランドであり、消費者と顧客主導型の企業であると考えているという点において、当社の考え方を象徴しています。
当社はもちろん製品を製造しており、自身を製造業と考えていないわけではありません。世界各地で出会うほとんどの企業が、まず自社を製造会社だと認識する中で、当社はあえてそう考えず、各事業を結び付けるコアとなる目的を「Imagine a Better Place(より良い場所を思い描く)」というキャッチフレーズで表現しています。これは、DuluxGroupが、人々が生活し、働く場所・空間を向上・保護・維持するプレミアムブランド製品の大手マーケティング・製造会社であることに由来しています。このようなマーケティング、ブランド主導型の企業としての特徴は、競合他社と比べても非常にユニークなものと認識しています。
2. DuluxGroup Pacific context

本日のプレゼンテーションにおいては、ここ数十年にわたる取り組みの成果を反映している太平洋事業に焦点を絞ってご説明いたします。
3. Strong performance as an ASX listed company – Top 10% TSR

まず、これまでの経緯について、少し解説いたします。
緑色の棒グラフは、DuluxGroupがASXに上場していた9年間における6ヵ月ごとの税引後利益の推移となります。経済状況や競争環境などのいかなる変化が訪れようとも、当社は一貫して右肩上がりの利益成長を実現してきました。株主還元についても、赤色の折れ線グラフが示す通り、1株当たり配当金を右肩上がりに増やしてきました。
右側のグラフは、同じ期間の株主総利回り(TSR)を示しており、DuluxGroupはASX上位200社平均を3倍以上も上回って推移しました。これには日本ペイントが株主に提供した買収プレミアムは含まれていません。もしこれを含めるとなれば、同期間のTSRは450%近くになります。当社は、最終的に正しいことを行い、ブランドを確立しながら、マーケティングで主導し、イノベーションを推進し、消費者と顧客にフォーカスすることで、一貫して株主に報いてきました。
4. Dulux – consistent long-term growth above market

こうした成果を支えた最大の事業が、塗料事業でした。
グラフは、2004年から上場廃止した2018年までの15年間になります。青線で示したように、当社は年平均成長率5%弱の売上成長を達成しました。一番下の赤色の点線は、塗料事業の最大の市場、すなわち、約2/3を占めている建築用塗料市場を示しており、数量ベースで約1%成長にとどまりました。実際は、それより若干低い成長率にとどまった認識です。
豪州のGDP成長率の半分程度の低成長な成熟市場において事業を展開しているにも関わらず、当社は青線で示したように、市場を大きく上回る売上成長を達成できました。重要なのは、緑色の点線が示すように、10%台半ばの営業利益率を維持しながら、こうした売上成長を達成できたことです。
事業を通じて一貫して達成してきた利益を伴う売上成長の主な原動力の1つは、黄色の線で示している建築用塗料市場における数量ベースのシェア成長です。2004年から2018年にかけて、34%から46%へとシェアが高まりました。低成長ではあるものの市場からの貢献に加えて、建築用塗料市場における数量シェアの拡大、イノベーションの推進、製品ミックスとプレミアム化による価格への影響力、それらを補完する塗料周辺分野での取り組みを通じて、市場を上回る成長を達成してきました。
右上の青色のボックスに記した通り、2023年現在でも当社は成長を引き続き継続することができており、日本ペイントグループ傘下のパートナー会社モデルのもと、わずかながら成長を加速させています。
5. Consistent investment in long term fundamentals

ICI傘下にあった時代も、ASXに上場していたOrica(旧ICI Australia)傘下の時代も、2010年から2019年半ばまでの9年間に独立企業としてASXに上場していた時代も、そして、日本ペイントグループの一員となってからの5年間も、当社の長期的な基本戦略は全く変更ありません。
当社は、消費者インサイトとブランド・マーケティング・コミュニケーションに対する一貫した注力によって事業を推進しています。こちらについては後ほど詳しくご説明しますが、これを支えるのが強力な研究開発技術とイノベーションのパイプラインです。実際にICI傘下にあった時代からメルボルンにあるDulux研究所は、英国ロンドンと米国クリーブランドと並ぶグローバル3研究開発センターの1つとして位置付けられていまいた。興味深いことに、説明資料の3番目と4番目の項目に記載されている通り、他の再販専門業者を通じてDIY向けの消費者に販売する小売チャネルだけが当社の強みではありません。
説明資料の下段にある豪州大規模小売店の最大手Bunningsや、Mitre10のような独立系ホームセンター以外でも、自社の店舗ネットワークを通じた独自の流通網を通じて、塗装業者への直接販売を行っています。また、自社で店舗を構えることが経済的に合理的でない場合には、Inspirationsという企業グループとの販売代理店契約により、フランチャイズ展開を進めています。
世界の多くの塗料会社がDIY向けの小売塗料販売を得意とし、その他の塗料会社もプロ向けの直営店販売に強みを持つのと比べると、当社のビジネスモデルは少しユニークです。当社は基本的にその両方を半々の比率で行っており、サプライチェーンにおける完全かつ納期厳守の対応力や、製品の品質・生産・配送に関連する全ての要素で優れたパフォーマンスを発揮することによって、それを補完しています。
6. Dulux brand strength

それでは、当社のブランド力と、それが何年にもわたって優れた株主還元の基盤となっている理由について簡単にご説明いたします。
7. Consumers love their homes – paint protects and beautifies

まず、消費者に対する考え方からお話しいたします。消費者がいなければ、消費もビジネスも成り立たないからです。
豪州には約1,000万戸の既存住宅があり、うち70%は築20年以上が経過しています。人々は自身の家に対して深い愛着を持っており、住宅は最大の金融財産であると同時に、心理的に自分自身の延長でもあります。日本だけでなく、世界のどの地域に住んでいたとしても、住宅との結び付きが自尊心に与える影響は非常に大きいものがあります。多くの国で「my home is my castle(私の家は私の城)」ということわざがありますが、DuluxGroupが事業を展開する豪州やニュージーランド、他の西欧市場でも広く浸透している考え方となっています。さらに、人々が大掛かりに住宅の塗り替えを行う頻度は5~7年に1回程度であり、塗り替えは比較的頻度の低い作業となっています。
マーケティングの観点で考えれば、動きの速い消費財もある中で、塗料はある意味動きの遅い消費財です。しかしながら、それがなぜ重要なのかと言えば、豪州の塗り替えは、全体の2/3程度の作業を自分で行いますが、外装の塗り替えや大規模で複雑な作業を要する残りの1/3程度は、塗装業者にお金を支払って依頼するからです。「やるからには、きちんとやろう」とする傾向が本当に強いのは、自分で作業をすると時間がかかる一方、塗装業者に依頼すると費用がかかるからです。そして、住宅が自分自身の延長であると考えるからこそ、人々は機能的な側面だけでなく、見栄えを良くしたいと考えます。こうしたことから、当社はその知識を活用して、中古住宅のリフォームや修繕に力を入れています。
円グラフが示す通り、Dulux建築用事業の売上のうち75%がリフォーム・修繕関連となります。当社は新築住宅関連も手掛けているものの、売上に占める割合は15%に過ぎず、市場全体の割合としても推定で20~25%程度にとどまります。新築住宅分野は利益率が低い傾向にあることから、依存度を意図的に低く抑えています。
当社はよりプレミアムな価値を持つリフォーム分野に注力しており、顧客にとって重要で実施する価値があるのであれば、当社にとっても価値があるという考え方を採用しています。それが有名なキャッチフレーズ「Worth doing, worth Dulux(価値ある選択にDuluxで応える)」につながっています。この考え方こそが、消費者市場に対する当社の本質を支えています。
8. Dulux is consistently Australia’s most trusted paint brand

当社は、Duluxブランドへの投資を売上成長に見合ったレベルで行っています。
先ほども申し上げた通り、これまでに年平均成長率5%程度の売上成長を達成しており、日本ペイントグループの一員となってからの5年間では、さらに成長を加速させています。つまり、当社のマーケティング投資は、他の固定費の管理指標としているインフレ率を上回るペースで増加させています。このような一見不釣り合いとも思えるような額の投資を行ってきた結果、Duluxブランドは豪州で消費者から最も信頼される塗料ブランドとしてのポジションを確立しています。
説明資料の右側にある通り、銀行、航空会社、自動車、家庭用食料品などの豪州のあらゆる分野を対象にしたブランドランキングおいて、今年も最も信頼されるブランドの第5位に選ばれました。これは、当社が何十年もかけて築き上げた象徴的な結果です。
9. Dulux has twice the brand strength of competitors

当ページは、競合他社との相対的な比較を示すべく、2018年から今日に至る消費者による自発的なブランド認知度の推移となります。この調査は消費者に塗料ブランド名を単に列挙してもらうことで集計しており、特定のブランド名を誘導するものではありません。1つ目のポイントとしては、青色の線が示している通り、80%以上の消費者がDuluxブランドと回答しており、黄色と緑色の線が示す競合他社の2倍以上の差となっています。
2つ目のポイントとして、当社の第2ブランドであるBritish Paintsについても、最大の競合他社と同等か、それをわずかに上回るブランド認知度を誇っています。British Paintsブランドは、豪州大規模小売店の最大手Bunningsに対して独占的に提供しています。
繰り返しになりますが、このようなブランド力の主な源泉は、一見不釣り合いなほど重点的に行ってきた投資の結果です。
10. Distribution via retail partners + own trade painter network

先ほども申し上げた通り、当社はBunningsやMitre10をはじめとしたDIY向けの小売パートナーの強みを生かす一方、プロ向けに独自に構築したネットワークを通じてブランド力を高めています。こうしたプロ向けのネットワークにおいては、塗装業者との関係を築き、価格設定を行うほか、説明資料の画像にも示されている通り、DuluxトレードセンターやInspirationsの全プロセスを直接管理しています。
11. Dulux brands – Do-It-Yourself consumer offer (by price point)

次に、ブランド力を消費という観点から考察していきます。当ページは、Bunningsなどの大規模小売店へ買い物に行くDIY向けの消費者と、彼らが実際に消費するものについて解説しています。
塗料のカテゴリーに関して興味深いのは、販売数量順に逆ピラミッド型となる点です。説明資料の右側に記載したポイントは、当社がICI傘下にあった数十年間の経験から得た知識です。世界経済が成長するにつれて1人当たりのGDPが増加します。1人当たりのGDPが増加すると、1人当たりの塗料消費量が増加し、よりプレミアムな塗料製品へと需要のシフトが発生します。つまり、通常のピラミッドから逆ピラミッド型へと変化が起きるのです。このようなトレンドは、時間をかけながら全ての国で生じています。
当社は成熟市場である豪州において、Duluxブランド、British Paintsブランド、Walpamurブランド、最も安価なSpringブランドなど、各価格帯で製品を販売しています。消費者にとっては幅広い選択肢があるにも関わらず、建築用塗料の販売数量のうちの65%以上が最高級のプレミアム価格製品であるDuluxブランドが占めています。Duluxブランドは販売価格が他の価格帯のブランドに比べて高いため、当社の塗料売上高の75%以上を占めています。
究極的には、こうしたポイントがビジネスモデル全体の経済性を推進しているのですが、重要なのは、先ほどもお伝えした通り、自宅に愛着を持つ消費者心理とリンクさせることです。つまり、頻繁に行われる作業ではないからこそ、「やるからには、きちんとやろう」と考えるのです。
これが、プレミアムブランド市場が非常に強い理由です。ある種の単純な例えとしては、化粧品を購入する人々がなぜお金を使うのか?それは、見た目を良くし、気分を良くするためです。このような単純な例えで考えると、塗料は住宅を美化する化粧品のようなものです。
12. Dulux brands – Do-It-For-Me Trade Painter offer (by price point)

当社はプロ向け事業でも同じことを実践しています。
繰り返しになりますが、当社はあらゆるレベルの塗装業者に対して選択肢を提供していますが、彼らがDuluxブランド製品を購入する理由は、製品に対する信頼です。そして、その製品を最終消費者である住宅所有者に紹介するのも同じ理由によるものです。
13. Brand execution / Dulux – broad and dynamic marketing agenda


これらはブランド力を活用した事例となります。当社は、カラーリーダーシップ、消費者とのエンゲージメント、独自のブランド・コミュニケーションのそれぞれで大きな強みを持っています。
14. Dulux – growing the market through new categories

石膏ボードなどの通常基材を扱う主な建築用製品以外にも、新たなカテゴリーを生み出しています。
欧州市場から取り入れたアイデアになりますが、フランスではキッチンを新しくする代わりに、従来の塗料では対応できなかったラミネート加工された表面でも使用できる製品を開発しました。説明資料の左側にある使用前後の写真が示す通り、このようなリフォームを望む消費者にとっては、塗料がいかにシンプルで安価な選択肢となり得るかが分かるかと思います。
15. Dulux – growing the market through ‘super premium’

逆ピラミッドの頂点に位置する「Dulux Wash & Wear」4リットル缶の塗料を100豪ドル弱で販売しているのに対し、それを上回る150豪ドルの「スーパープレミアム」カテゴリーも新たに市場投入しました。つまり、住宅の中で最も美しい部屋のために使用するニッチな製品という位置付けです。これらは、当社がさまざまな方法でマーケティング力を拡充している一例です。
16. Dulux – ‘Help & Advice’ whenever consumers need it

当社は製品のみならず、サービスにおいてもイノベーションを追求しています。
当社のヘルプ&アドバイスチームを通じて提供しているのが、顧客がiPhoneを使ってカラー・コンサルタントとオンラインでチャットし、コンサルタントが自宅に適した色を提案するサービスです。
消費者にサンプルを送りながら、どの製品を買うべきかを示す処方箋を渡すことで、BunningsやMitre10、Inspirationsなどの小売パートナーで実際に塗料を購入することができます。
17. Building loyalty with professional painters

当社はこれ以外にも、デジタルを全く別次元にまで引き上げ、塗装業者の顧客に向けて新たなサービスを立ち上げました。例えば、3万人に上る塗装業者が、いつでもどこでもどんな製品でも購入することができる、操作性に優れたサイトで、建築用塗料と特殊コーティング向けに作成したデジタル・アプリケーションなどが備わっています。
18. Leveraging our brand with the best painters in market

当社は、塗装業者と消費者を結び付けるサービスも提供しています。
先ほどもご説明した通り、消費者は実際の作業の特殊性から自分自身で作業を行いたくないケースもあります。当社はそうしたケースに対して、Dulux認定を有した最高の塗装業者を紹介しています。認定塗装業者が当社に支払う手数料をこのプログラムに再投資しています。説明資料の画像からも分かる通り、彼らはDuluxブランドの代表者であり、当社は認定塗装業者と消費者を結び付けることで、質の高い作業を担保しています。
19. Emotive brand connection through community engagement

当社はより広範なコミュニティでブランド力を強化する活動にも力を入れています。説明資料の画像は、15年前に外装用の主力製品である「Dulux WeatherShield」を用いて、どうコミュニティと結び付けることができるかを考え始めたことからスタートした取り組みとなります。
豪州では、「サーフライフセービングクラブ」がコミュニティの一部として非常に大きな役割を果たしています。広大な海に面する全ての沿岸ビーチに存在するサーフライフセービングクラブでは、サーフライフセーバーが主にボランティアとして、海でおぼれた子どもや大人を救助する活動を行っています。
当社はBunningsチームのメンバー、Mitre10、その他の顧客グループの協力のもと、豪州のサーフライフセービングクラブを無償で塗装しました。
当社は私たちを守ってくれる人たちを最終的に守っており、それをテレビ広告などのさまざまな活動を通じて伝えています。
20. Long term investment in Australia’s #1 interior paint brand

最後に、Duluxブランドについてご説明いたします。主力の「Dulux Wash & Wear」製品において、過去10年間で最大のブランド刷新を数ヵ月前に実施しました。
説明資料の左側が「Dulux Wash & Wear」で、光沢レベルが異なる複数の製品を販売しており、「The best just got better(最高の製品がさらに良くなった)」というキャッチフレーズで展開しています。
右側の製品は、当社の技術力によりさらなる機能や効果を追加した製品です。
当社はこのほかにも、いくつかのより専門的な製品をより高い価格で販売し始めており、消費者がさらなるイノベーションを求め、それにお金を支払って手に入れる選択肢を提供しています。
21. Extending marketing and brand capability into Europe

当社はご存じの通り、建築用塗料事業で欧州市場へ近年進出し、非常に強力なブランド・ポートフォリオと販売網を整えました。
欧州では、特にフランスなどの一部市場で明らかに厳しい経済状況に直面しています。しかし、当社は自社の戦略や能力に対して非常に自信を持っており、数十年にわたる豪州での取り組みを通じて培ってきた能力を西欧市場で展開しています。
22. Beyond Dulux decorative paint – adjacent categories

当社は建築用塗料事業以外でも同様のアプローチを推進し、多くの事業を買収してきましたが、先ほど申し上げた通り、これらの全事業で現在は2桁の営業利益率を確保しており、そのほぼ全てでNo.1の市場シェアを獲得しています。
23. Cabot’s woodcare – ‘Bringing the beauty of timber to life’

最初は1993年にCabot’sブランドのウッドケア事業を買収しました。当時の市場シェアは推定で10%程度でしたが、現在は明確なマーケットリーダーのポジションを確保しており、Cabot’s、Intergrain、Feast Watsonの主要3ブランドを通じて強力なウッドケア製品群を展開しています。
24. Dulux Protective Coatings – ‘Protection you can count on’

Dulux保護コーティングでは、「Protection you can count on(信頼できる表面保護)」というブランド・ポジションを確立しています。
当分野では、シドニーにあるハーバー・ブリッジから大規模LNGプロジェクト、インフラプロジェクトなどのあらゆる取り組みを推進しています。
他の分野と同様に小規模なポジションから取り組みを始め、現在ではグローバルに展開する多くの競合他社を相手にしながら、非常に強力なポジションを確立しています。
25. Selleys Sealants, Adhesives & Fillers – ‘If It’s Selleys It Works’

当社は1988年、Selleys社のSAF(密封剤・接着剤・充填剤)事業を買収しました。私が営業部長を務めた2003年当時の営業利益率は1桁台前半でした。
現在は2桁の営業利益率を上げており、No.1の市場シェアを獲得しています。密封剤や接着剤に関するプロジェクトでは、「IF IT’S SELLEYS IT WORKS(SELLEYSなら大丈夫)」というキャッチフレーズで展開しています。
26. Yates Gardencare – ‘Live the Joy of the Garden’

当社は2003年、塗料・関連製品分野から一歩踏み出し、新たにガーデンケア事業を買収しました。当時既に100年以上の歴史があり、当社は25年間で6代目のオーナーとなったものの、経営が悪化する中で営業利益率は-5%でした。
それが今では2桁の営業利益率を上げるマーケットリーダーとなっています。説明資料のイメージで分かる通り、住宅の所有者が自分で庭を造るにせよ、庭師を呼んで造ってもらうにせよ、「live the joy of the garden(庭を手入れする楽しみを味わう)」製品を提供しています。
27. B&D Garage Doors & Openers – ‘Safe as can B&D’

2013年には、B&Dブランドのガレージドア事業を買収しました。
現在ではとても魅力的な事業となっており、消費者向けの化学品事業ではなく、金属加工・エンジニアリング事業を展開しています。Duluxマーケティング・チームの専門家を投入して気付いたのは、リモコンを押してガレージのドアを閉めた時、ロックされていると思っていても、実際にはロックされていないことでした。そこで当社は、「Safe as can B&D(B&Dと同じくらい安全)」、「Don’t just protect it B&D it(保護するだけでなく、B&Dで保護する)」というポジションを押し出しました。
そこから生まれた新たなイノベーションがたくさんあり、マーケティングの力で「Safe as can B&D(B&Dと同じくらい安全)」、「Smart as can B&D(B&Dのようにスマート)」と伝え、iPhoneを使ってドアを開け閉めすることで「Quiet as can B&D(B&Dのように静か)」と伝えています。
28. Marketing capability strategy reaches all ~250 marketers

DuluxGroup全体では、約250人のマーケティング担当者がいます。現在当社の最高マーケティング責任者(CMO)を務めるIan Rowden氏とは、約10年前に幸運にも出会うことができました。Rowden氏はアトランタのCoca Cola社でブランド・マーケティングを推進するワールドワイド・リーダーを務めたほか、Richard Branson氏のもとで7年間、Virginブランドの世界展開を進める責任者を務めた人物です。
Rowden氏とは、私がマーケティング分野で人材採用を進めている中でRowden氏が手伝ってくれたことで出会い、Rowden氏は最終的に当社への入社を決めてくれました。Rowden氏は、太平洋地域で培ったマーケティング能力を駆使して全分野を牽引してきました。現在では、当社の欧州チームと協働しているほか、グラディス・ゴーやウィー・シューキム、アジアのチームとも連携しています。
以上、ご清聴ありがとうございました。