2022年12月期 第1四半期決算説明会 質疑応答要旨

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質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1 中国の状況は日々変化しており、例えば先日も中国不動産ディベロッパー1社のデフォルト(債務不履行)が発表されるなど、ロックダウンが住宅販売などに影響を与えています。ヒートマップは資料作成時点での見通しであり、市況見通しがさらに悪化する可能性はありますが、第1四半期のDIYが前年同期比+28%増収だったことからも、需要に大きな陰りが生じているわけではありません。加えて、当社の販売網は上海や北京など大都市だけに限らないほか、過去の経験からはロックダウン解除後の反動需要が発生する可能性も高いため、現時点ではそこまで悲観的な見通しを持っておらず、特にDIYにおいてはさらなる市場シェアの向上を目指していきます。
    ただし、市場の状況は日々変化している中、当社として現時点での最善の見通しをお示ししているとご理解ください。

  • A2 貸倒引当金の追加計上の可能性については、あくまでさまざまなパターンを想定した場合の試算の一つです。今回の追加引当金は15社程度の不動産ディベロッパー向け債権を中心としており、基本的にはDIYよりもProjectで影響を受けるとお考えください。
    試算自体も変化し得るものではあるものの、引当金の追加計上を全くしない可能性は低いと考えていますが、本件は今後監査法人と合意していく必要があるため、これ以上のコメントは現時点では差し控えます。しかし、このような規模の金額を試算している以上、まずは市場へお知らせすべきと考え、今回可能な範囲で開示したとご理解ください。

質問者:JPモルガン証券株式会社 佐野智太郎氏

  • A1 連結の通期業績予想に変更はない一方で、地域別の見通しに変更は発生していますが、本日それを具体的に言及するのはミスリーディングになると考え、差し控えさせていただきます。例えば、仮に貸倒引当金100億~150億円を中国で追加計上する場合、中国の営業利益率に影響するなど、さまざまな変化が発生し得るとお考えください。一方で、連結営業利益予想1,150億円を必達目標と掲げる中、為替影響をはじめ当社ではコントロールできない要素も多いため、現時点では連結の通期業績予想を変更するには材料が不十分と判断しています。中国の追加引当金に限っても、業績予想の修正を必要とする基準に抵触しているわけではないため、今回は業績予想を据え置いています。

  • A2 状況は日々変化しており、例えば中国でロックダウン期間が長期化するかどうかなど、不確定要素が多いと認識しています。第4四半期決算の説明資料P29の四半期推移イメージでは、第1四半期の営業利益は前年同期比で減少を見込んでいましたが、結果としては短信ベースで前年並みとなり、想定以上の結果となりました。
    特に中国では、旧正月の影響により第1四半期は業績が落ち込むのが通常ですが、影響が想定よりも軽微にとどまったことはポジティブサプライズでした。また、需要期である第2四半期に向けて、当社としてもある程度の回復を見込んでいます。しかし、ウクライナ情勢や中国ロックダウンの影響を受けて自動車部品の供給が滞っているなど足元の状況に鑑み、営業利益率の改善ペースはやや緩やかになる可能性があると考えています。一方で、業績予想を見直す状況には至っていないなど、複数の要素が複雑に絡み合っている現状をご理解ください。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1 Cromology社の営業利益は、買収初年度である今期にPPA後で50億円程度を見込んでいます。第1四半期は相対的に需要が少ない時期である一方、第2四半期、第3四半期にかけて業績をどれだけ伸ばせるかがポイントとなりますが、現時点では見通しを変更する要素はありません。しかし、ウクライナ情勢などを受け、地理的に近接する欧州では消費者信頼感指数が厳しい状況にあるため、「期初予想を大幅に上回る」よりも「何とか達成する」状況になっています。第1四半期の売上収益は前年同期比+3.4%ですが、販売数量の増加よりも製品値上げが大きく影響しています。第1四半期の市況もやや軟調となっており、第2四半期も引き続きやや軟調と見込んでいます。
    JUB社については、クロージング前のため具体的な金額などはお答えできませんが、6~7ヵ月分の業績貢献となるため、1桁億円程度の利益貢献と見込んでいます。DuluxGroup社との非常に良好な関係のもと、クロージングに向けて順調に進捗しており、買収後の次のステージに向けて備えている状況です。しかし、2021年度の売上収益の約150億円に対して2022年度も大きな変化はないため、利益も同程度と見込んでいます。JUB社については、第2四半期決算発表においてできる限り開示したいと考えています。

  • A2 消費者心理的に厳しい状況であるだけでなく、世界的な物流費や原材料価格の上昇はフランス経済にも影響を与えています。それに対して製品値上げや費用削減でいかに相殺できるかという考え方は、他の地域と同様とお考えください。

質問者:ゴールドマンサックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1 DIYについては、基本的に販売数量の増加がかなりの部分を占めています。価格転嫁はできているものの、売れ筋製品のミックスなども影響することも併せて考慮する必要があります。販売数量は伸びたものの、エコノミークラスの製品がやや伸びており、第1四半期はどちらかと言えば販売数量が寄与した売上成長だったとお考えください。また、DIYの売上収益には塗料周辺分野も含まれており、こちらも順調に成長しているのがDIYの状況となります。
    Projectも同様に製品値上げはプラス効果になりますが、前年同期比-5%を超える販売数量の減少がありました。強い分野をさらに強化しているDIYに対して、Projectではある程度選択的に施策を実施し、市場シェアの拡大一辺倒ではなく、利益をしっかり確保できる案件を受注するよう注力しています。ただし、市場全体も軟調となる中、当社が競合他社に大きく負けているとは考えていませんが、場合によっては一部の競合他社が積極的に案件を取りに来ているケースもあり得るため、当社としてはバランスを考慮しながら状況を注視しているのが実態です。
    中国全体の営業利益率については、現時点で業績トレンドが反転上昇するまでには至っていません。これは特に中国において、原材料価格や物流費などがそれなりに上昇している中、販管費などはしっかりコントロールしているものの、どうしても全体の変動費が営業利益率に影響を与える状況が続いています。この第1四半期は旧正月の影響が想定よりも軽微であったものの、決して需要が強い期ではなく、第2四半期、第3四半期が勝負と考えています。

  • A2 当社と競合他社では事業規模が大きく異なると認識しており、成長率の差異を持って当社が負けているとは考えていません。DIYはブランドビジネスであり、一朝一夕にブランドは構築できないため、当社は依然として強みを有しています。また、現在の市場環境下ではエコノミークラスでもしっかりと売上を伸ばしていく方針のため、プレミアムよりは若干競合が多く発生すると考えています。プレミアム市場では当社は基本的に競合他社に勝っている認識です。製品ミックスを考慮すると、エコノミーの需要が伸びた場合はプレミアムに比べ利益率は上昇しないものの、製品値上げができないわけではありません。今後もDIYはより明確に注力すべき事業として成長させていく方針であり、成長を阻害する大きな要因があるとは考えていません。

  • A3 DIYとProjectは似て非なる市場であり、DIYは業者による施工が必要な事業(Do It For Me)が主流であり、塗り替え需要などが多くあります。一方で、Projectは新築需要が依然として大きく、非常に厳しい市況環境にあります。つまり、需要がDIYからProjectにシフトしているわけではなく、両市場にそれぞれ特徴があるとの認識です。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1 中期経営計画で掲げる売上収益の年率成長率+10%をベースに申し上げますと、販売数量と価格/ミックスの内訳はあくまで結果でしかありませんが、販売数量がより多いだろうと想定しています。ただし、販売数量についても塗料以外の部分などが増えている一方、第1四半期は自動車用の販売数量はそれなりに減少した中、連結全体として販売数量+1%を確保できたことは、当社としてこの事業環境下でもしっかりと進めることができたと考えています。
    今後も前年対比で業績を分析していく中、2021年度は年間で随分と状況に変化があったため、前年対比での分析に難しさを感じています。先ほども申し上げた通り、中国は第2四半期において想定よりも苦戦すると見込む一方、そこを上手く収められれば、2020年第1四半期のロックダウン解除後の反動需要局面で当社が発揮した回復力に鑑みると、当社のような規模感のある会社がより強みを発揮できるチャンスはあると見込んでいます。
    ただし、仮に年末までロックダウンが継続した場合には事業にとってマイナス影響が大きく、その影響を制御しきれない部分もあるため、当社としてはどのようにベストを尽くすかに終着します。事業環境や原材料市況などが日々変化する中、当社としては一定の予算・目標を立てながら、それらを達成するための具体的な施策を実行しています。そうした施策の中にはコスト削減や製品値上げ、拡販などがあり、経営陣としてはそう単純ではない環境下で事業を推進しているとお考えください。

  • A2 販売数量と価格/ミックスについて、地域ごとにコメントすることは戦略上差し控えたく、ご理解ください。

質問者:SMBC日興証券株式会社 千葉恭司氏

  • A1 中国競合他社における売上の内訳は不明であるため、単純な比較は差し控えますが、当社はProject 市場が軟調に推移する中、2021年下期から単純なシェア拡大のみを追求するのではなく、収益性も十分確保した上で成長していく計画を実施しています。その結果が第1四半期の▲5%減収とご理解ください。

  • A2 DIY、Projectの収益性に関する詳細な開示は控えますが、当社はNipsea中国全体としての収益性を十分に確保しています。

質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏

  • A1 説明資料 P5に記載の通り、ナフサ価格は期初時点で6万円台を想定していましたが、足元では8万円台へと上昇、高止まりしているのが現状です。こうした状況は今後も継続すると見込んでおり、顧客の理解を得ながら製品値上げを引き続き実施していきます。また、原材料価格が一段と上昇することも想定しながら、対策を検討していく必要があると考えています。

  • A2 製品値上げが各地域で浸透することによる営業利益率の改善は見込んでいますが、原材料価格の前提は以前から申し上げている通り、下期においても高位安定であり、原材料価格の低下を見込んでいません。

  • A3 原材料価格の期初想定は、3月に開催した中期経営計画進捗説明会の説明資料P12でご説明した通り、上期は上昇傾向が続く一方、下期では上期に上昇した水準が継続すると見込んでいます。そのため、上期は引き続き原材料価格が上昇傾向にある前提で、それに対応した製品値上げを実施していく計画です。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1 中国DIYは第1四半期に旧正月の影響が想定よりも軽微にとどまり、市場も堅調に推移する中、当社の市場シェアも上昇し、+28%増収となりました。それに対して第2四半期は、ロックダウンの影響が日増しに深刻化する中、説明資料の作成時点からさらに悪化する可能性もあるものの、当社のこれまでの経験を踏まえれば、ロックダウンが解消された後の反動需要が発生する可能性も想定されます。全体としては、第2四半期は第1四半期より軟調になると予想するものの、そこまで悲観的な予測はしていません。

  • A2 同程度の水準と見込んでいます。

  • A3 DIYやProjectの収益性に関する詳細な開示は控えますが、全体として第2四半期にさらなるコスト上昇があったとしても営業利益率の改善を見込んでいます。ただし、通期業績予想を発表した2月時点の想定と比べると、その改善ペースは緩やかになるというのが現在の見通しです。

質問者:ジェフリーズ証券会社 東佳宏氏

  • A1 株価下落の理由によって異なります。金利上昇による株価下落の場合、当社がM&Aを検討する対象企業の事業実態そのものに変化はないため、ポジティブと考えられます。一方で、足元のような不確実性の高まりによる株価下落の場合、買収にかかるリスクも上昇すると考えられるため、M&Aの規模感、マルチプル、リスク選好度などに影響を与えることになります。
    当社が検討するM&Aでは、マルチプルに対する考え方の違いにより、バイアウトファンドなどと競合するケースはほとんどなく、競合他社と競うことが一般的です。そうした中、当社と競合他社において、リスク選好度などで大きな差はそこまでありません。

  • A2 中国では直近までコロナ影響による移動制限はあまりなく、販売網の拡大において制約要因にはなっていません。前年もProjectはやや軟調となる一方、DIYは特級、1級都市なども含めて強い塗り替え需要などを背景に高い伸びを示しました。ロックダウンは業績に影響を与える一つの事象であるものの、販売網の拡大政策に大きな制約となっているとの認識はありません。なお、DXの活用も含めてユーザー・エクスペリエンスの向上を図っており、今後も積極的に取り組んでいきます。

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